西洋美と東洋美の邂逅
WEST MEETS EAST - 英国王室御用達ブランド「ウェッジウッド」の食器と、日本の伝統工芸「輪島塗」がコラボレーションをし、思いがけない美が誕生しました。
WEST MEETS EAST
ウェッジウッドは、石川県輪島市の輪島塗とのスタイリングで、互いの作品を引き立てる「WEST MEETS EAST」を企画しました。このCSV(Creating Shared Value)のアートディレクションは、能登半島地震後、現地の復興に心を砕くプロダクトデザイナー鈴木啓太氏によるものです。
265年にわたる歴史を持ち、クラフトマンシップを礎にする「ウェッジウッド」は、能登半島地震被災地の支援対象として伝統工芸に着目しました。そして、現地の方のお声を確認しつつ、「輪島塗」の美と技法をハイライトすることで、共感する方々の関心や購買を促し、それが職人の方々にとっての持続的な制作支援や生きがいに繋がる企画を立ち上げることとなりました。組み合わせたウェッジウッドのファイン ボーン チャイナ3柄には、被災された地域へのメッセージが込められています。“食卓”や”クラフト“を軸にして繋がり、「輪島塗」に関心を寄せるためのきっかけ作りで、とても小さな試みではありますが、ウェッジウッドが被災された地域の一助となれることを願い、また、現地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
ウェッジウッドの「フェニックス」は、不死鳥がモチーフです。何度でも蘇ることを意味することから、一日も早い復興への願いが込められています。輪島塗の「菊描詰 卓上膳」は、重要無形文化財「髹漆」技術保持者に認定され、網代や曲輪等の素地技術に加え、漆本来の美しさを追求した作品で高名な小森邦衞氏の手によるもの。その他の卓上膳とフェニックスとの組み合わせも、漆器と金彩色の上質な交わりが息をのむ美しさです。
ウェッジウッドの「ヘリア」は、太陽がその名の語源で、夜明けを示唆し、「明けない夜はない」と被災された方々に寄り添います。一方、組み合わされた朱の輪島塗。こちらもアカは「明ける」を語源とし、太陽が昇っている様と重なります。六角は古来より縁起の良い物とされてきた亀の甲羅をイメージした形状です。見た目の美しさのみならずストーリーに想いが籠っているのも、東西の伝統工芸の奥深さでしょう。
和柄を想わせるフォーチュンは、実は、九谷焼に着想を得たシリーズがデザインのルーツです。ウェッジウッドのアーカイブに残る絵柄から生まれたコレクションで、どこか馴染みがあるデザインが遠くない未来に光が届くようお祈りします。組み合わされたのは、輪島塗の平盃。酒を酌み交わす習慣が今よりも多かった頃、職人は懐に自作の盃を持ち歩き、自分の技術を見せるツールでもあったとか。東西ともに伝統工芸ならではの歴史を顧みるのも、食器の楽しみ方のひとつです。
「WEST MEETS EAST」:輪島塗
輪島塗の作品は、鈴木啓太氏が現地の方々と相談の上、セレクトされました。それらは人間国宝の職人の方が手掛けた作品を含む、まさに輪島塗の真骨頂。息をのむ、緻密な技術と美しさが詰まっています。
(万全な状況ではないため、ご希望品の入手に時間がかかる場合がございます。ご了承の上、ご寛容ください。)
[高洲堂]
「日本が誇る伝統工芸 輪島塗」を世界へ。 伝統工芸はその土地の風土と暮らしの中で、伝統的な技法と匠の技をもって育まれ、人から人へと受け継がれてきた大切な財産です。
約700年の歴史を持つ石川県輪島市の輪島塗は、四季ある能登の風土を感じながら日本人が日本の素材を使い、 使いやすいように、強く美しく、代々受け継がれるものとして、作り手の技と研ぎ澄まされた心で作られる作品です。 人間国宝はじめ、世界で活躍する工芸作家、未来に花咲かせようとする若手作家まで、作品の紹介と共に、拘りぬいた素材と技術、作風や作家情報などを発信してまいります。
〒928-0008 石川県輪島市マリンタウン4番地63(仮事務所) TEL 0768(22)3777
https://kosyudo-japan.com/home/
(ご購入はお問い合わせをいただいて1点ずつの対応となります。)
使用作品の作家(敬称略)
小森 邦衞(こもり くにえ 1945年生まれ)
石川県輪島市出身の日本の漆芸家。 2006年に重要無形文化財「髹漆」技術保持者に認定され、網代や曲輪等の素地技術に加え、漆本来の美しさを追求した作品を制作。 日展、伝統工芸展などの中央常連作家は100名を超え、1977年には、「輪島塗」技術保存会が、漆器産地初の団体指定重要無形文化財の指定を受け、氏は現在名誉顧問としてその高い技術を保存し、後世に伝えるべく、継承・発展に努力を重ねている。
箱瀬 淳一(はこせ じゅんいち 1955年生まれ)
石川県輪島市出身の日本の漆芸家。 1975年、蒔絵氏田中 勝氏に師事。5年間の修行ののち、下地職人に再び弟子入り。塗と蒔絵を使いこなし、世界の有名ラグジュアリーブランドなどとのコラボレーションなど、輪島の漆芸作家として世界に日本の漆文化を伝達し発信する。日本の伝統文様や花鳥風月などをモチーフにした蒔絵など、卓越したセンスと技術で注目されている。
角 有伊(かど ゆい 1968年生まれ)
石川県輪島市出身の日本の漆芸家。 父は漆芸家の「角偉三郎」。1986年四代目須田菁華の元で陶芸を学び、器の根底を探る修行を経て、 2003年、角漆工房に入る。 2005年偉三郎が他界後角工房の代表として偉三郎の遺志を受継ぎながらも、独自の漆の世界を作りあげようとしている。
小西 啓介(こにし けいすけ 1939年生まれ)
1966年日展に初入選、以後21回入選を重ね、特選2回他審査員、理事等を歴任、日本漆芸界の重鎮として活躍されています。展覧会作品では、色漆をバックに沈金技術で蝶や草花を描き、宇宙から虫や草花など森羅万象を表現しています。
前古 孝人(ぜんこ たかひと 1959年生まれ)
石川県輪島市出身の漆芸家。1978年輪島漆芸技術研修所入所。古今青峰氏、板谷光治氏の指導を受け、沈金の技術や図案を学ぶ。以後主に職人として研鑽を積み、沈金組合の会長も歴任し、古典柄から現代調の文様まで多岐にわたり制作している。
「WEST MEETS EAST」:クリエイティブチーム(敬称略)
アートディレクション
鈴木 啓太(Product Design Center)
https://productdesigncenter.jp/
プロダクトデザイナー、クリエイティブディレクター。古美術収集家の祖父の影響で、幼少より人が織りなす文化や歴史に興味を持つ。森林活用から都市環境、伝統工芸から3Dプリンティングなどのアディティブ・マニュファクチャリングまで幅広い分野に精通し、美意識と機能性を融合させたデザインで、国内外でプロジェクトを手掛ける。
フォトグラファー
川上 輝明(bean)
熊本県生まれ。国内制作会社勤務を経て1998年に独立。築地にて<有限会社bean>を設立。2019年文京区春日に移転。現在は料理・インテリア・旅分野を中心に活動中。
スタイリスト
曲田 有子
クニエダヤスエ氏に師事。アシスタントを経て1992年独立。テーブルコーディネイト、フード、インテリアなどのスタイリングを中心に、書籍や雑誌、広告での撮影、ホテルなどウエディングパーティーのフード、器の提案撮影、食器や雑貨店ディスプレイ、短期大学での講師など、幅広く活躍。